国土交通省は4月7日に「新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた工事及び業務の対応について」と題した通知を出しました。
緊急事態宣言時も、河川や道路などの公共工事は事業の継続が求められていますが、緊急事態措置を実施すべき区域では、受注者から工事などの一時中止や工期または履行期間の延長の申し出があった場合は、受発注者による協議を行ったうえで対応するようにとのことがこの通知の内容です。
その措置に伴う経費を発注者たる国交省が適切に負担するとあります。
一方、住宅関係ですが、国土交通省は2月27日付で建設業団体などに向けて、「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う建設設備の部品供給の停止等への対応について」という通知も(緊急事態宣言発出で廃止されましたが、)出しておりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、トイレ、システムキッチン、ユニットバス、ドアなどの建材・設備の部品の供給が滞っていることから、納品が遅れて、日本国内の建築工事で工期が延びるなどの事態が想定されておりました。
そこで、それらの設備が未設置の状態で工事を完了させても、建築基準法に基づく完了検査を実施するように各自治体の担当者や指定確認検査機関に求めたものでした。
現在、納入の遅れから住宅工事が止まってしまって完成時期を大幅に延期している現場も少なくありません。
通常、未完成の分譲マンションや分譲住宅を広告する場合には、入居予定年月を記載する必要がありますが、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会は、新型コロナウイルスの影響が続いている間の暫定措置として、入居予定時期を「未定」と表示することを一時的に認めております。
工事がストップすると、その分、入居予定も遅れる可能性が高い訳で、このことが「住宅ローン減税」にも影響が及びそうです。
「住宅ローン減税」は、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して住宅の新築・取得または増改築などをした場合、毎年の住宅ローン残高の1%を所得税などから10年間控除する制度のことです。
昨年の10月に消費税率が10%に引き上げられ、その住宅取得対策として、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居する場合は、控除期間が13年間に延長となる特例措置が行われることになりました。
ところが、新型コロナウイルス感染症による影響で設備などの納入がされず入居が遅れると、この「2020年12月31日まで」というのが問題となる可能性が出てきた訳です。
この問題に対して、国土交通省から4月7日に「住宅ローン減税の適用要件の弾力化について」という発表がありました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年12月31日までの入居期限に遅れた場合でも、要件を満たせば2021年12月31日までに入居すればよいというものです。
その要件としては、注文住宅を新築する場合は2020年9月末までに、分譲住宅・既存住宅を取得する場合と増改築等をする場合は2020年11月末までに契約が行われていることになります。
このように、この新型コロナウイルスの影響は様々なことに今後も影響を及ぼしてきそうですね。
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