日本の中古戸建の流通量について IZUMAI通信 Vol.138

2021.06.28

日本の中古戸建の流通量について
 

 

コロナ禍において大都市から脱出して郊外の戸建に移住する人が増えています。
そのため中古戸建の流通量が増えつつあります。
とは言え日本においての中古戸建の流通量は、欧米の国々のそれと比較すると圧倒的に少ないことが分かります。

 

 

日本では、長く新築至上主義の考え方が浸透して、木造の法定耐用年数である22年を過ぎてしまうと全く価値がないと考える人が多く、中古戸建に目を向ける人が異常に少ないのが現状です。

 

 

アメリカやイギリスなどは、流通している住宅の80%が中古で、新築は20%前後しかありません。
ところが、日本では正反対の新築80%、中古20%の比率が長く続いております。
つまり、ある程度の年数が経った中古は、壊して新築するといったことが当たり前のように行なわれて来たということです。

 

 

これは、高度成長期に掲げた住宅政策を新築偏重で行ってきたことに原因があり、未だに住宅政策の主役は新築です。
国もこの状況の改善を模索し始めていますが、長年沁みついた新築偏重路線を急に大きく揺り動かすことができずにもがいているとも感じます。

 

 

その最たる政策が、建物状況調査(インスペクション)です。
中古住宅が何故毛嫌いされるかというと、“汚い” “不安” “分からい” という理由からだと言われます。

 

 

見えない部分がどうなっているか分からないことです。
もしかしたら基礎が白蟻に食い荒らされているかもしれない。
もしかしたら屋根から雨水が侵入して屋根裏に水が溜まっているかもしれない。
給水管や排水管が錆びて水漏れを起こしているかもしれない。
建物の各所に対しての不安は募るばかりです。

 

 

一生住み続けるかもしれない大事な大事な家ですから、安易に妥協して購入することはできないので当然かと思います。

 

 

であれば、見えない、不安を感じる場所がどのような状態なのか明らかにしてあげれば、
中古住宅を購入する人が増えるだろうと、何年か前から建物状況調査を行うかどうか、
宅地建物業者は媒介契約時に売主に必ず確認しなければならないと義務化しました。

 

 

ところが、媒介契約時に建物状況調査を行うかどうかを売主に確認するだけでは、一向に調査件数が増えておりません。
現在売りに出される中古物件のうち建物状況御調査を行っている物件の数は、およそ1割弱程度。
ですので、ほとんど実施されていないということです。

 

 

何故浸透しないのか?
ひとつには、媒介契約の時に売主に建物状況調査をやるかやらないか確認するだけでは形骸化が進むだけで調査件数は一向に増えないのです。
故に中古物件の流通件数も伸びないのが実態です。

 

 

建物状況調査を行うことは、見えない部分の状態が可視化され、安心して購入できるというメリットに加え、売主にとっては、引渡から一定期間見えない部分に告知していない不具合が見つかると補修等の責任が生じてきます。
引渡し前に建物状況調査を行っておくことで、不具合のある場所を特定でき、不具合の程度も買主に伝えられるので、告知義務違反を問われることもなくなります。

 

 

また買主にとっては、建物状況調査を行って不具合を指摘された箇所を修繕すれば、
既存住宅瑕疵保険という国土交通省管轄の保険に加入することができ、
加入することで築年数が旧いことで対象にならなかった住宅ローン控除が対象になったり、所有権移転登記の時にかかってくる登録免許税が減税になったりといったメリットもあります。

 

 

このあたりを確り説明してあげることで、売主、買主に双方にとってのメリットを理解していただくことができると思います。

 

 

弊社では、アメリカやイギリスのように中古住宅をもっともっと見直していただき、流通量が増えていくように色々と策を講じていきたいと現在も挑戦中です。

 

 

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