不動産業界の方は何となく感じていると思いますが、このところの不動産のマーケットには一時の勢いが感じられなくなっているような気がします。
2022年度の第3四半期の地価LOOKレポートを見ると、住宅地区は全地区が上昇に転じており、前回下落した沖縄県那覇市も今回は上昇し復活した形となりました。
また商業地は、コロナの行動制限がなくなり、インバンウンドの入国制限も大幅緩和されたことから、店舗系の地区を中心に人の流れが増え、地価も上昇に転じております。
投資物件ですが、区分マンションは利回りが低下(価格は上昇)傾向にあるものの、一棟アパート、一棟マンションは利回りの上昇(価格は下落)が起きております。
物流施設は、コロナ禍で需要が高まっておりましたが、ここにきてピークアウトしたようにも感じます。
一方、建築資材はコロナ禍で物流が滞ったり、物不足で価格が急騰したりといったことが続いておりましたが、木材、セメント、生コン、アスファルトはほぼ横ばいに移りつつあります。
冒頭コメントさせていただきました、勢いがなくなってきたのではといったところですが、目立つのはハウスメーカー等の売主物件の在庫が増えて来ていることです。一時建てれば即売れるといった時期もありましたが、在庫が減らず価格を下げる物件も目にするようなりました。
この状況に気が付かず、急増した新規参入の買取再販業者は高値で物件を仕入れ続けており、収益悪化の懸念が浮上してきているように思えます。
今年4月に日銀の黒田総裁が任期満了で退任されることが決まっておりますが、後任の方の金融政策次第で不動産のマーケットにも影響が出て来ることが予想できます。既に長期金利は上昇傾向にあり、固定金利の住宅ローンの金利は上がり始めています。
現在の住宅ローンの大半は、短期金利に連動する変動型であるため、現時点はあまり影響が出ている訳ではありませんが、この先短期金利が上がらないということはまず考え難いと思います。
為替に関しても、円安が急激に進行して一時151円台を付けるなど、200円に迫ることも考えられましたが、現在は130円前半で安定してきております。急激な円安で海外から日本の不動産を買い求める投資家等が殺到して、不動産価格高騰の一因ともなっておりましたが、現在の為替水準が続く、あるいは更に円高が進行すると、局面に変化が出て来るのではないかと思います。
2023年の不動産マーケットの状況は果たしてどう推移していくのでしょうか?
今後暫くは、変化のシグナルを見落とさないよう、マーケットとの対話を心掛けることが常に必要になっていくかと思います。
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