相続した土地の境界確定 IZUMAI通信 Vol.305

2024.10.07

昨今、亡くなる方が多いためか相続した土地の売却が増えているように思えます。

相続した土地の売却の際して問題になるのが、隣地との境界がどこなのかということです。
登記されている情報を基に売買契約(公募取引)をすることも少なくありませんが、
その情報が果たして正しいかどうかを確認しておく必要があります。

例えば間口の狭い旗竿土地の場合、建築基準法で認められた道路に2m以上接道していないと建物が建てられませんが、
隣地の土留めが越境し間口の有効幅員が2m以下になってしまっているケースなどがこれに当たります。

この場合、越境している隣地に越境状態を解消するよう依頼することになりますが、
隣地の方が直ちに解消に対応じてくれないと建物は建てられません。
この状況のままで売買契約を締結してしまうと、売主は契約を履行できず、買主から違約を主張されることもありますし、
損害賠償を請求される可能性もあります。
またこのような旗竿土地の場合、間口部分は2m以上あったとしても路地状の部分の一部でも幅員が2mに欠けていると同様のことになります。

別のケースでは、売買契約締結後に土地家屋調査士に測量を依頼したことで、
亡くなった被相続人が生前隣地の所有者と境界の確認を行っていてお互いにその境界を合意していたことが発覚した場合などです。

相続人の方が被相続人と一緒に住んでいなかったというケースも多いですし、
同居していたとしても隣地と境界の確認をしていた事実を伝えられていないケースもありますので、有り得る事例と言えると思います。

隣地の言い分を無視して進めてしまうと隣地から訴えられるかもしれませんし、
契約内容通りに進めて行くと買主と隣地の関係がおかしくなることも考えられます。

買主としては、将来隣地と揉めたくないので、隣地の言い分を汲んであげたいと考えるのが普通かと思います。
こうなると一度締結した契約の売買対象の土地の面積が変わりますので、
売買代金は境界確定後の面積で清算しなくてはなりません。

このように相続した土地については、相続人が認識していないことが多いので、
慎重に調査してから売買契約を行なわないと後々問題が発生し、トラブルに発展することになりますので気を付けたいと思います。

一方、売買契約では、相続人である売主は、売買対象の土地についての認識が乏しいため、
境界の明示、その他物件の告知を免責にして契約することもよくあります。
ただ、買主のことを思えば、確り調査を行った上で契約してあげたいとも思わなくもありません。