中銀カプセルタワーの解体について IZUMAI通信 Vol.178

2022.04.18

中銀カプセルタワーの解体について

 

 

中銀カプセルタワーをご存知でしょうか?
銀座、新橋によく行かれる方は見たことがあるのではないでしょうか。
かなり奇抜な形状の建物ですので、名前をご存知なくても写真をお見せしたら、
見たことあるとお答えされる方も少なくないのではないでしょうか?

 

 

建築界の巨匠黒川紀章の作品です。
カプセル状の部屋をいくつもブロックのように組み合わせて積み上げたような形状の建物です。
近くを通った際には暫し目を奪われてしまうような建物です。

 

 

1972年に建てられた建物で、かれこれ50年の歳月を刻んできたため、
老朽化を止められず解体されることが決まりました。

 

 

最近ではミニマリストと呼ばれる狭小の部屋に好んで住まわれる人がいますが、
正にミニマリストのためのような狭小住宅です。
4畳半程度の広さの部屋にベットが置かれて、テレビや照明、スイッチの類は壁に埋め込まれ、
風呂、キッチンはありません。
当時ではかなり機能的な作りで斬新と評価されておりました。
因みにテレビはブラウン管のテレビですので、今では使えません。

 

 

名前の通りカプセルの空間の中での生活となりますが、そのユニークな発想、
話題性から、当時だけでなく最近まで大変人気のあった建物です。

 

 

そのカプセルの部屋は、単体で売買されてきました。
売出価格は380〜480万円だったそうで、それが50年も経って直近では1000万円程度で取引されていたというから驚きです。
確かに銀座というアドレスと黒川紀章の設計ということで希少価値もあるからなのかと思います。

 

 

この建物は建設当時は25年経過後くらいにカプセルの交換を計画していたのですが、
実際には一度も交換されたことはありません。

 

 

140ものカプセルはそれぞれオーナーが存在している訳で、
そのオーナーの意見がまとまらなかったというのがカプセル交換ができなかった理由のようです。

 

 

また建設当時はカプセル交換を一部屋500万円程度と考えていたのですが、
年々コストが増加し今やるとしたら倍の1000万円でも足らない状況が交換できなかったもう一つの理由のようです。

 

 

この貴重な建物を残したいと考える人も少なくなく、保存活動も行われておりました。
ですが、残念ながら老朽化にストップをかけることが出来ず、やむなく解体工事が始まってしまいました。

 

 

年内には解体工事は終わり更地となる予定です。
そして来年からは新しいビルに生まれ変わるべく新築工事が開始されます。

 

 

物にも人にも寿命があり、避けて通れない道と言えども、もう少し延命させることはできなかったのかと残念な気持ちになります。

 

 

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