成年後見人について IZUMAI通信 Vol.206

2022.11.07

高齢化が進む日本の中で今後より深刻化していくことが、認知症の高齢者の増加かと思います。2020年当時で、認知症の高齢者は600万人になっており、毎年その数は増加を続けています。65歳以上の6人に1人が認知症ということになります。

 

 

認知症になると基本的に契約行為ができなくなります。仮に認知症の高齢者が本人で契約したとしても後で取り消しすることが認められておりますので、認知症と知っていて適当な説明で契約した相手にとっては、契約したからといって安心できない訳です。

 

 

では、この対策として家族としてはどうしたら良いのでしょうか?最も知られているのが、成年後見人です。成年後見人を家庭裁判所が認めれば、認知症の高齢者に代わって財産の処分を含めた契約行為を成年後見人が行うことができます。不動産の売却も然りです。

 

 

ただ600万人もいる認知症の高齢者のうち、この制度を活用しているのは、僅か24万人しかいないというのが実態です。

 

 

何故このように少ないかというと、この制度の使い勝手の悪さを指摘する人が少なくありません。というのは、成年後見人は家庭裁判所に申請する際、ほとんどの方が家族が成年後見人になることを想定して申請します。ところが申請通り家族が成年後見人になるケースは僅か2割弱で、かなりハードルが高いことが分かります。

 

 

では、家族が成年後見人になれなかった場合はどうなるのかですが、家庭裁判所が指定する弁護士、司法書士等がなることが一般的です。家族であれば報酬は発生しなかったにも関わらず、士業の人に成年後見人をお願いするとだいたい月2〜3万円、財産が多い場合は5〜6万円の報酬が必要になります。またこの報酬は成年後見人を付けた方が亡くなるまでつづきます。途中でやめたいとか、この案件のみでお願いしますという訳にいかないのです。

 

 

認知症の程度が比較的軽いケースは、成年後見人でなく保佐人になるケースもありますが、制度としては一緒です。

 

 

弊社で今年取り扱った不動産の売却で売主に成年後見人を付けたケースが数件ありましたが、幸いいずれのケースも家族が成年後見人になれました。

 

 

結局、成年後見人が必要になるのは不動産の売却のような財産の処分がほとんどだと思いますが、それが何回も何回も繰り返しあることは稀ですので、1回毎に成年後見人を付けることができる制度に見直すべきだと思います。でないと、利用者は増えず何のための制度だと分からなくなりますので、是非制度改定の検討いただきたいと思います。

 

 

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