東京への人口の一極集中再加速 IZUMAI通信 Vol.218

2023.02.06

コロナ禍で東京23区から地方へ人口が流出し転出超過となりましたが、一転再び東京への人口流入が加速し始めています。転出の原因だったテレワークですが、最近では出社を再開する動きも出てきております。

 

 

日本の出生率がますます低下し人口減少が進む中、東京が独自の子育て支援策を打ち出しておりますので、より東京都外から若者を呼び込むようになっていく可能性が高いです。

 

 

東京のオフィス需要では2023年問題と言われているものがあります。昨年の「ミッドタウン八重洲」を皮切りに、今年は「虎ノ門・麻布台プロジェクト」、「東京三田再開発プロジェクト・オフィスタワー」「渋谷駅桜丘口地区市街地再開発事業」など、大規模オフィスを備えた再開発が目白押しです。

 

 

現在も東京のオフィスの空室率は6%を超えており、リーマンショック後の空室率に近づいてきております。そこに新たにオフィススペースが大量に供給されますので、一気に空室率が上昇するのではないかと危惧されているものです。

 

 

ただ、コロナの行動制限もほぼなくなり、出社文化が回復していくと、この2023年問題は意外と鳥越苦労になっていくかもしれません。過去にもバブル崩壊、リーマンショックで東京が不況に陥ると一時的に地方へ人口が流出したものの、経済が回復してくると再び東京に回帰する現象が起こったように、今回コロナによる行動制限がなくなると一気に東京への人口流入が加速していくこともあり得るのではないかと思います。

 

 

国は、何とか人口を各地に分散させたいと色々策を講じてきましたが、ほとんど効果なく東京一極集中を阻止できておりません。国が人口を分散させたい理由の一つに、大規模災害が起こった時に東京に人口が集中していると甚大な被害が発生すると想定しているからです。

 

 

今後30年以内に80%以上の確率で起こると考えられている南海トラフの大地震や富士山の噴火、あるいは同時発生も否定できないため人口の分散は日本を壊滅にさせないためにも必要なんだと思われます。もしかしたら台湾有事が発生した場合、東京が攻められる可能性を考えたら猶更ですね。

 

 

不動産のマーケットとしては、東京に人口が一極集中することで、更に価格上昇が進むこともあるかもしれませんし、インバウンドの来日数がコロナ前の4000万人台に回復していくと拍車がかかるかもしれません。

 

 

全ての面で東京一極集中は、地方との格差の拡大につながっていきますので、実効性ある政策を国には期待したいです。

 

 

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