世界のオフィス空室率の高まり IZUMAI通信 Vol.237

2023.06.19

世界主要都市の空室率がリーマンショック後のピークを超え、更に上昇しています。世界の主要10都市の空室率は、13%を超えてます。

 

 

個々の都市ごとに見ると、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコは、ほぼ20%水準になっており、北京、上海がそれに続き20%に迫る水準、ニューヨーク、香港が15%水準と危機的な水準となってきてます。

 

 

東京もコロナ前と比較すると空室率は高止まりして5%に迫っている状況です。特に港区の4月の空室率は8.48%と都心5区の中でも群を抜いて高くなっています。

 

 

これは、新たな高層の商業ビルの竣工が相次いでいることが原因かと思われます。港区に限らず都内では新築の商業ビルが、今後も渋谷、銀座、虎ノ門界隈で次々オープンする予定ですが、今でも空室率が高止まりしていますので、空室率がますます高まっていくことは間違いないと思います。

 

 

先週アメリカの中央銀行にあたるFRBが利上げを見送りました。昨年3月にゼロ金利が解除されて以来の据置きの対応となりましたが、未だインフレ圧力は消えていないと判断しているようですので、色々な指標を確認した結果で年内に再び利上げをすることもありそうです。

 

 

アメリカではこのような状況の中、商業不動産への融資が細ってきており、その結果不動産の価格が下落し始めています。

 

 

もう既に3つの地方銀行が破綻したアメリカで不動産の価格が下落していくと、銀行が融資している不動産が相次いで担保割れとなり銀行の経営状況の悪化を招くことが懸念されています。

 

 

最近、アメリカだけでなく、中国でも、ヨーロッパでも不動産の価格が下落基調となっておりますが、日本の不動産の市場にも影響が現れて来るようなことがあるのでしょうか?

 

 

日本では、日銀が金融政策決定会合で金融緩和を今後も継続することを決定したことを受け、先週末の日経平均株価は、33年ぶりに33,700円まで上昇しました。ここ数ヶ月は海外投資家の買い越しが続いており、正にバブル期を彷彿するような状況になってきたような感じがします。

 

 

一方円相場は、対ユーロで152円と15年ぶりの円安水準になり、対ドルでも141円台まで再び円安が加速してます。円は、世界の多くの通貨に対して安くなっており、独歩安の様相を呈してます。

 

 

海外の不動産が下落基調となっている状況下での円の独歩安は、海外投資家にとって日本の不動産の魅力をますます高めていくことになるのでしょうか?

 

 

世界に歩調を合わせることなく、日本だけが金融緩和を継続している状況は、日本の不動産にとって果たしてプラスに作用するのか?あるいはマイナスに作用するのか?現地点では何とも判断できない状況かと思います。

 

 

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