不動産の相続登記の義務化 IZUMAI通信 Vol.287

2024.06.05

現在所有者が分からない所有者不明土地というものが、日本国中に点在しており、その面積を合わせるとなんと九州地方の面積より広いくらいだと言われております。

 

 

何故日本にはこのように誰が所有者だか分からない土地がたくさんあるのでしょうか?一番の原因は、相続が発生した時に登記を行わなかったことだと言われています。これまで相続登記は義務化されておりませんでしたので、相続人がそのまま登記せず放置している間にまた相続が発生し、その相続人がその土地の存在を把握していなかったために広がってしまったと考えられています。

 

 

不要な不動産、いわゆる“負動産”と揶揄される価値の無い不動産が世の中に増えた事も原因かと思われます。例えば原野商法で被相続人が騙されて購入してしまった土地や、高度成長期にインフラを整備することなしに利便性の低い地域に次々建てられた建売り住宅や、バブル期に人気を博したリゾートマンションなどが“負動産”の代表例です。

 

 

こうした状況を解消しようと、令和3年4月に「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権者の国庫への帰属に関する法律」が成立・公布され、今年4月に施行されました。これにより相続登記や登記名義人の住所変更が義務化されました。この相続等義務化により所有者不明土地は解消されていくのでしょうか?

 

 

2つの法律のうち「相続等により取得した土地所有権者の国庫への帰属に関する法律」 に関しては、国庫に帰属させてもらう条件が厳しすぎるために実効性を欠いているのではないということは、過去IZUMAI通信の中でも触れさせていただきました。因みに今までに1661件の申請に対して国庫帰属した土地は117件に留まっております。

 

 

一方の相続登記、住所変更の義務化については、今後発生する相続、住所変更には効果を発揮すると思いますが、既に九州地方より広い面積に膨れ上がってしまった所有者不明土地についてはその効果に疑問を感じなくもありません。というのは、所有者不明土地の本来相続人が自分が所有者だと認識しているかということです。何代かにわたって相続が発生し、相続人が大勢いる場合、元々の所有者の事を知っている相続人もおらず、土地の存在を認識している相続も誰もいないケースは少なくないと思います。

 

 

法律を施行させて相続を義務化したとしても、結局現在の所有者が積極的に義務を果たす行為を行わない限りは、何も進まない可能性が大きいからです。

 

 

もしかしたら自分は知らないご先祖様の土地を相続した一人かもしれないと思って、自らの費用負担で調べようとする人がどれほどいるでしょうか?
まずそんな奇特な人はごく僅かしかいないのではないでしょうか?

 

 

では、地方行政や国が所有者に代わって現在の所有者を見つけ出して連絡してくれるでしょうか?弊社でも経験がありますが、所有者不明土地の現在の所有者を探し出すのは、容易な作業ではありませんし、費用もかなり大きな金額がかかってしまいます。それを公的な機関ですべてやってくれるかというと、あり得ないと思います。

 

 

やってくれるとしたら、公共事業を進めていくうえで所有者不明土地が障害になっているケース、今にも倒壊しかけている建物の解体の行政代執行を行った後に解体費用を請求するために所有者を見つけ出さなければならないケースくらいだと思います。

 

 

相続義務化が所有者不明土地の解消の切り札のように言われることがありますが、今後発生する相続には効果はあるものの、過去に発生してしまった所有者不明土地の解消に一役買うのかについては疑問しかありません。

 

 

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