人口が減る日本と変わりゆくお墓とお寺のかたち IZUMAI通信 Vol.344

2025.08.26

人口減少と家族の変化

 

日本はこれからますます人口が減っていきます。高齢化が進み、子ども世代は都市に出て暮らすことが多くなり、「お墓を守る人がいない」という状況が全国で起こっています。

 

 

その背景には、熟年離婚や、夫の死後に妻が義理の親族との縁を切る死後離婚といった新しい家族のあり方もあります。かつては「家単位で代々守る」ことが前提だったお墓も、今では相続の場面で「誰が墓を承継するのか」という問題として浮上するケースが増えています。

 

 

トレンドは「安く・近く・楽に」

 

最近のお墓選びのキーワードは「安金楽(あんきんらく)」。
高い費用や手間をかけず、後に残る家族にも負担をかけない形が求められています。

 

 

遠くにあるお墓に行くこともできず、お墓参りもままならないので自分が住んでいる場所の近くで供養できたらいいと考える人も増えてきております。

 

 

実際の購入動向を見ると、樹木葬が半数以上を占め、従来の一般墓は20%にも満たないそうです。「お墓=石碑」という時代は過ぎつつあり、手軽さや将来の安心を重視する傾向が強まっています。

 

 

墓じまいが進む理由

 

「墓じまい」とは、お墓を撤去して遺骨を他の場所(合葬墓や納骨堂など)に移すこと。ここ10年で急速に広がってきました。

 

 

その主な理由は――

 

跡継ぎがいない:子どもが遠方に住んでいて維持できない

費用の負担:墓石の修繕・管理費が重い

家族関係の変化:死後離婚や親族関係の希薄化

生活スタイルの変化:核家族化や都市移住で「実家の墓に通えない」

宗教観の変化:「墓石にこだわらない」「自然に還りたい」という価値観

 

 

こうした理由から、墓じまいの件数は今後さらに増加していく見通しです。団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降は特に加速すると考えられています。

 

 

寺と縁を切りたい人が増える背景

 

墓じまいの流れと並行して、「寺との付き合いをやめたい」という人が増えているのも大きな変化です。

 

その理由には――

 

経済的負担:寄付やお布施、永代使用料などが大きな負担

人間関係の変化:檀家制度に縛られたくない、宗派にこだわらない人が増加

距離の問題:寺や墓が地方にあり、都市部に住む子世代が関われない

宗教観の変化:「供養は気持ちの問題であり、必ずしも寺院を通す必要はない」という価値観

 

 

結果として「檀家離れ」が進み、寺院の維持が難しくなる 寺じまい が各地で増えています。

 

 

寺じまいにかかる費用と手間

 

寺院を閉じる「寺じまい」は、実は非常に大きな負担を伴います。

墓石の撤去費用:1基あたり数十万円、規模によっては数百万円
遺骨の移転費用:改葬許可の申請や新しい納骨先との契約が必要
本堂・建物の解体費用:老朽化した本堂や庫裏の解体は1,000万円以上かかることも
仏像・位牌・仏具の処分:魂抜き法要や専門業者への依頼が必要
行政・宗教法人の手続き:宗教法人格の解散には所轄庁への届け出が必要

 

 

つまり、寺じまいは「墓じまい」の何百倍も大変な作業であり、経済的にも精神的にも大きな負担になります。
そのため、後継者がいない住職や檀家にとっては深刻な問題となっているのです。

 

 

墓石を持たない・お骨を埋葬しないという選択

 

さらに進んだスタイルとしては、そもそも墓石を持たない・お骨を埋葬しないという選択肢も増えています。海や山への散骨、手元供養、樹木葬など、従来のお墓にとらわれない方法です。

 

 

法的には、散骨は墓地埋葬法に直接の規定はありませんが、節度をもって行えば違法ではないとされており、現実に広がっています。

 

 

まとめ

 

人口減少と家族の変化は、日本人の供養のあり方を大きく変えています。「安近楽」をキーワードに、お墓は従来の石碑から、樹木葬やレンタル墓、あるいは散骨へと多様化しました。

 

 

そして、墓じまい・寺離れ・寺じまいは今後さらに加速する見通しです。しかしその裏では、墓じまいには大きな費用と複雑な手続きが伴い、多くの人が直面する課題でもあります。

 

 

大切なのは、生前に「誰がどう引き継ぐのか」「どのように供養したいか」を家族や寺と話し合い、納得できる形を選んでおくこと。
それが残された家族への思いやりとなり、安心につながるのではないでしょうか。

 

 

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